乾癬の内服治療
今日は秋晴れの気持ちの良い天気ですね。洗濯と掃除をしてからブログを書いています(^^)/
今回は乾癬シリーズの内服治療について書きます。私が医者になった頃は、乾癬に対しての内服治療は選択肢が2つしかありませんでした。一つはチガソンというビタミンA誘導体の内服薬で、皮膚の角化異常を正常化させる作用があります。以前病院に勤務している時は紫外線治療と組み合わせて使用することがありました。紫外線治療との相乗効果は非常に高く有効ですが、口唇口角炎の副作用はほぼ必発でした。肝機能障害や脱毛などの副作用もあり、更に妊娠した場合赤ちゃんに奇形が生じる可能性があるため、内服終了後女性の場合は2年、男性でも半年は避妊しなければいけないことになっています。
それで、もう1種類の薬シクロスポリンという免疫抑制薬を使うことが多くなりました。しかしこちらもたくさん飲むと効果も上がるのですが、副作用も強くなります。主に腎臓に負担がかかるため血圧が上がってきます。乾癬の患者さんには、糖尿病など他に基礎疾患を持っている方が多く、副作用は注意しないといけません。また免疫抑制薬につきものの、発癌性の問題です。紫外線治療との併用もできないため、ここでも手詰まりになることがありました。
そこで、昨年3月に発売されたオテズラという内服薬が現在非常に使われるようになっています。この薬は乾癬の原因となる炎症を抑えてくれる新しい機序の内服薬です。副作用は下痢などの消化器症状が最も起こりやすくなります。妊娠中だと胎児への毒性が動物実験で示されているため、内服中は避妊をしないといけないことになっています。更に紫外線療法との併用で治療効果もあがることが示されています。今までの薬にない理想的な薬と言えますが、しかし最後の問題は価格でしょうか。内服薬は消化器系の副作用を減らすために、徐々に増やしていくことになるのですが、最終的に飲んでいただく錠剤は1日2錠で、1錠975円の薬価がついています。3割負担の方だと17550円/月、1割負担だと5850円/月の薬剤費がかかってしまいます。
どんな症状にどこまでの治療をするのか、患者さん一人一人の症状を見ながら要求にこたえていきたいと思います。