アトピーのかゆみ治療
夏休みが終わり、子供たちも学校が始まりましたね。まだ日中の暑さは残りますが、朝や夜は涼しい風が吹くようになり、秋の気配を感じる今日この頃です。しかし、台風も去年と同様にたくさん発生しており、各地での被害が心配です。クリニックでも災害時の対策として非常食、水などを備蓄しています。何事にも備えが大切ですね。まさに今晩から明日朝にかけて首都圏にも台風15号が接近しており、戸締りを厳重に、夜間の外出など控えて皆さん備えましょう。
今回はアトピー性皮膚炎のかゆみ治療についてです。痒みの原因は皮膚の炎症なので、シンプルに考えると炎症さえなくなれば痒みも改善します。皮膚の炎症が完全になくなるまで十分な強さのステロイドを塗れば、痒みもなくなります。しかし難しいのは、炎症を繰り返しやすいのがアトピー性皮膚炎の特徴というところです。そのために治まったと思う部分でも、時々ステロイドなどの炎症を抑える薬を塗るプロアクティブ療法や保湿による予防が重要となります。さらに、痒みのメカニズムも非常に複雑で、いわゆる痒み止めの薬(抗アレルギー薬)を飲んでもすべての痒みが治まるわけではありません。そのような時に、免疫抑制剤(ネオーラル)を内服することで痒み症状を抑えることができます。大量に内服すると腎機能障害などの副作用を起こすことがありますが、少しの量であれば比較的安全に使うことができます。ステロイドの内服薬は飲めば炎症は良くなりますが、急にやめると症状がひどくなることもあり、全身への副作用からも通常アトピー性皮膚炎で使うことはほとんどありません。最近では、注射の薬も出てきていますが、値段も高く、しかも2週ごとに自己注射をしなければいけないため、この薬をつかうのは少しハードルが高くなります。他には、以前もお話しした紫外線療法は痒みにも有効です。このように、外用治療を中心にうまく飲み薬や紫外線療法を使って皮膚炎のない寛解状態を保つことがアトピーの治療には重要となります。